叱責やミスに傷つかない「ビリーフチェンジ」のテクニック

やったことないこと、知らないこと、失敗に対して先輩や上司から投げられるキツ〜イ一言。
「こんなこともわからないの?」
「そんなことも知らないなんて」
「何度も言わせないで」

確かにわからないことは事実だけど・・
でも、先輩たちの言い方や態度がきつく感じるんですよね。
大抵の場合、新米インテリアコーディネーターが傷つき萎縮してしまうような言い方です。
私自身も何度も言われて、おどおどと自信喪失し、心の病にかかりました。。
インテリア業界には私のように心の病にかかってしまうような人は沢山いて、辛くなって辞めていく人も沢山見てきました。

あなたのコア・ビリーフはポジティブ?ネガティブ?

大好きな仕事なのに、叱責や失敗に傷つきながら辛い思いをしながら我慢してやっていくしかないのだろうか?
どうしたら、傷ついたり萎縮することなく上手にステップアップができるのだろうか?

ここで知っておいて欲しいのは、「ビリーフチェンジ」という考え方です。

ビリーフ、とは、あなたのコア・ビリーフ(Core Belief)を指します。あなたの考えや感じ方の核(コア)になるもの、つまり「あなたが持っている思考の癖」です。心の中にある判断基準ですね。

このコア・ビリーフがポジティブな人は、ほとんどのことに対してポジティブな見方をします。
コア・ビリーフがネガティブな人は、物事をネガティブに捉えがちです。

たとえば、仕事でミスをしてしまった時に「なんで失敗しちゃうんだろう、自分はダメな人間だ」とネガティブな思考にとらわれてしまう人は、コア・ビリーフがネガティブ傾向にあると言われています。


または「このミスは自分にとって必要な学びだった、次間違えないようにがんばろう」とポジティブに受け取れる人は、コア・ビリーフがポジティブ傾向にあります。

どちらが生きやすいか?と言われたら、きっと多くの人が前者と答えるかと思います。

誤解のないようにしておきたいのですが、本来、ポジティブ、ネガティブという捉え方には優劣はありません。
ポジティブ、ネガティブと比べるとなんとなくポジティブの方が良さそうに見えますが、ネガティブな思考はその分慎重だったり、危険察知能力が高くリスクに過敏です。どちらが優れているということではありません。

ただ物事に対して受け取り方を意識して変える「ビリーフチェンジ」をすることで、物事の捉え方を自分でコントロールできれば、必要以上に落ち込んだり傷つくことを防ぐことは可能です。失敗から何かを学び取ることもできます。

ネガティブなコア・ビリーフをコントロールする方法

それでは、ビリーフチェンジの練習をしてみましょう。

<ビリーフチェンジの方法>
1紙の中央に縦線を1本書く
2今日起きた出来事をすべて紙の左側に書き出す(ざっくりとでOK)
3その中で少しでもネガティブな体験・出来事があれば丸をつける
4丸をつけた出来事の右側に、ポジティブな捉え方を考えて書き出す

たとえば、
「ミスを先輩に叱られた」場合、右の欄には
「同じミスを繰り返さないために注意してくれた」
または
「ミスを注意するときは叱責よりも一緒に改善方法を伝えると相手に受け入れやすい」
と書けますね。

物事にはさまざまな側面があります。
一見ネガティブな事柄でも、どう受け取るかによって受けるダメージや気持ちを変えられます。
ネガティブな出来事も、捉え方、視点を変えればポジティブに解釈できることを覚えておいてくださいね。

あなたのコア・ビリーフは、後輩たちにつながっていく

「悔しいならがんばれ」
「みんなそうやって強くなる」
「プロの世界はそんなに甘くない」
「私だって同じことを言われてしごかれてきた」
言っている側はそう思っています。

でも、そんな昭和の軍隊みたいな指導の仕方で、ホントに新米インテリアコーディネーターが一人前に成長できるだろうか。
知っている方が偉くて、知らない側は萎縮し、何も言えない雰囲気になります。
自信を失いおどおどし、何をやっても不安しかない。
怒られないように言われたことをこなすのが精一杯で、指示待ち人間がどんどん育っていきます。

ここで、新米インテリアコーディネーターを育てる本来の目的について考えてみて欲しいのです。

大抵の場合、新米インテリアコーディネーターには(一応)先輩や上司といった指導係がついています。
指導係の目的は、経験を通して一人前に新米スタッフを育てること、ですよね。
一人前に人を育てるということは、知識や技術を教えることはもちろんのこと、
・知らないことやトラブルがあっても対応できる知恵や機転を伸ばす
・何事にも前向きに向かっていける勇気や自信を育てる
ことが本質としてあると思います。
お客様の前に立ったら、助けてくれる人はいません。一人で仕事をこなしていける力を育てなくてはいけないのです。

わたし自身、育てられる経験と人を育てる経験をしてきました。
特に人を育てる側となってからは、「こんなこともわからないの?」「何度も言わせないで」というような、相手を萎縮させるような言葉は使わないと決めています。
なぜならば、この言葉達からは何も育たないから。
かえって新米インテリアコーディネーターのプライドを傷つけ、自信を失わせるだけです。
本来、一人前として仕事ができるように自信を持たせるための教育なのに、叱責や威嚇は意味がありません。
ただ上下関係のピラミッドを作り上げたり、目上の人の言葉を絶対とし、何も自分で考えられない指示待ち人間を作るだけです。

何より「わからない」「理解できない」状態は、教えている先輩や上司の教え方にも問題があるのではないでしょうか。
教えたのにできない、というのは、教え方が悪いから理解できなかったということも多々あります。

「わからない」「理解できない」と言われたら、相手にわかるように教えてあげるのが上司や先輩の仕事です。
誰だって、「はじめて」の時は不安ですからね。

このように考えているのは、この仕事を楽しんで気持ちよくやるプロフェッショナルな人が増えてほしいから。
きちんとあるべき方向に育てられた人は、教えられた基礎から自分で応用を考えることができ、間違った時は自分で軌道修正ができます。だからこそ、失敗や叱責で萎縮せずに乗り越えていって欲しいなと思っています。


きつい口調の相手を変えることはできません。変えられるとしたら自分の受け止め方。
いつか自分が新米さんに教える立場に立った時、「私も同じように言われたから」と先輩や上司と同じやり方を踏襲するのではなく、どうしたら相手が気持ちよく受け取り成長できるかを常にアップデートしていこう。