仕事を始めたばかりの新米インテリアコーディネーターは、悲しいことになかなかお客様から信頼を得ることが難しい立場です。実際、自分の提案に対してエビデンスや自信がないことも多く、発する言葉もどこか頼りなげな人も多いです。
彼らにとっておそれているのは自分が知らないことをお客様に聞かれたらどうしよう、ということです。うまく答えられなくて「このICさんはそんなに詳しくない」「担当者を変えてください」とお客様に言われてしまうことにビクビクしています。
そのため、知識や経験がないことを隠してしまいがちで、「知ったかぶり」「はったり」をしてしまいがち。
でも、不安なことを突っ込まれたり、鋭いお客様に次々と質問を浴びせられ、しどろもどろの泣き顔になってしまう新米さんをたくさん見てきました。
インテリアコーディネーターの接客の場において、お客様から信頼を得ることほど重要なことはありません。
プロの提案が欲しいと思ってくださる方がいて初めてわたしたちインテリアコーディネーターがいる意味があります。この人はプロの提案をしてくれている、と思われたら提案がやりやすくなるんですね。
しかし、信頼なんてそんなにすぐに手に入るものでもありません。
ただ、少しでも早く信頼を得るためには何が必要でしょうか。
一番最初に考えて欲しいのは「あなたがお客様(職人さん・上司)の立場だったら、どういう新米インテリアコーディネーターを信頼するだろうか?」という点です。
えええ、新米って名乗っている時点で信頼なんてできないのでは。
なんて思ったあなたはこちらを考えてみてください。
「今まで出会った人のなかでもっとも信頼できる人と、信頼できる理由」
思い浮かびましたか?
おそらくどちらもね、信頼できる人の信頼できるポイントって「人間性」についてだと思います。
人間性・・たとえば、「正直である」「努力家である」「約束を守る」「誠実である」といったところではないでしょうか。
決してずるい人や嘘をつく人を信頼することは無いですよね。
そう、未経験で知識が少ないあなたが信頼されるとすれば、あなたの人間性に大きくかかっています。
一にも二にも重要なのが「誠実さ」です。
誠実さは、知識や経験は関係ありません。人としての資質です。
誠実さは、今日からでも意識すれば誠実な人として信頼されることができます。
誠実とは、調べてみると以下の意味があります。
・偽りがなく、まじめなこと。
・私利私欲をまじえず、真心を持って人や物事に対すること。
仕事における誠実な人とは、色々あるかと思いますが、下記のような人のことを言いますよね。
・真面目に仕事に取り組む人
・嘘をつかない、言動に矛盾がない人
・すべての物事に責任を持ってあたる人
・連絡を確実にこなす人
・自分が損をしても他人を思いやれる人
・失敗を他人のせいにしない人
・感謝と謝罪をきちんと言葉や態度にできる人
・他人からの注意や指摘を真摯に受け止められる人
よく新米インテリアコーディネーターが恐れているのは「自分の知らないことを質問されたり突っ込まれたらどうしよう」ということ。「正直に知らないと言う方が、信頼されないのでは?」と聞かれることもあります。
しかし、あいまいに返したり知ったかぶりをすると、その場はうまくやりすごせても絶対にボロがでます。
だから、質問されたことに対して知らないことであれば、正直に「知らなかった」と伝えた上で、次回までに調べておきます、とか、この機会に勉強させていただきます、などと伝えることが大事。その場で答えられなかったとしても、お客様に誠実な対応をしている人だとわかってもらうことができます。
知らないことがダメなのではないのです。
知らないことに対して誠実に向き合えるかが問題なのです。
経験は実績を積まないと増えていきませんが、知識であれば経験がなくても短期間で自分で増やすことができます。
実績のない新米インテリアコーディネーターは、とにかく知識を増やすことを意識していきましょう。
メーカーのカタログを熟読する、ショールームに行って商品の説明を受けてくる、セミナーにいく、仕様を覚える、メーカーごとの特徴を自分なりにまとめる、施工事例を自分の資料としてまとめておく、といったことを通して、知識を少しずつでもいいので増やしていきましょう。
その際、ただ知識を吸収するのではなく、「お客様は何を知りたいか?」ということを考えながら知識を増やしていきましょう。
知識の有り、無し、は、接客時の自信にも大きく関わってきます。
傾聴(けいちょう)とは、「耳を傾けて聴く」という言葉どおり、「耳」「目」「心」を傾けて真摯な姿勢で相手の話を聞くことです。いわゆる「聞き上手」になることですね。
お客様は、家づくりや住んでいる家に何かしらの課題があるからインテリアコーディネーターの前にいるのです。
お客様が今何の問題を抱えているのかを全身で考えながら聞くことで、お客様を理解することにもつながり、理解しようとする聞き手側の態度がお客様の心を開き、信頼関係を気づくことにも繋がります。
また、傾聴とはただ聞いてるだけではなく、お客様に寄り添いながらアドバイスすることも含まれます。
傾聴がしっかりできているインテリアコーディネーターは、問題に対するお客様の気づきを促すこともできるようになります。
傾聴してくれるインテリアコーディネーターに、お客様は心を開き、信頼してくれます。
実績がない、知識がない新米インテリアコーディネーターにも、信頼される方法をお伝えしました。
お客様や現場の職人さんや現場監督さんたちが応援したくなるインテリアコーディネーターを目指していきましょう。