水運で栄えた都パリは、水の氾濫と治水の歴史を抱えています。
それを象徴するのがセーヌ川にかかる橋。
現在パリには右岸と左岸を結ぶ37の橋(le pont)があります。
その中でも今回ご紹介するのは、アルマ橋(le Pont de l’Alma)。
アルマ橋は、パリの中心地、7区と8区&16区との間にかかっているアーチ型の橋で全長153m、幅は42m。
アレクサンドル3世橋とイエナ橋の間にあり、パリの交通の要でもあります。
アルマ橋は1854年のクリミア戦争時におけるアルマでの戦闘にちなんで名付けられた戦勝記念の橋です。
戦勝記念とはいえ、お隣のアレクサンドル3世橋のようにゴージャスできらびやかな橋ではなく、車の交通量も多い実用的な橋です。
アルマ橋の中央の橋脚、アレクサンドル三世橋側には、セーヌ川の番人とも言うべき銅像が立っています。
それがズワーヴ(Zouave)像。
ズワーヴとはフランスのアルジェリア系の歩兵隊兵士の名称で、彼は1850年代に竣工したアルマ橋の設立当初からアルマ橋とともに佇んでいます。
ズワーヴ像は別名「la mesure des crues de la Seine(セーヌ川の洪水の水位測定)」と呼ばれています。
というのは、セーヌ川の上に立っている彼、セーヌ川の水位が高くなると体が川に浸かってしまいます。
それゆえ、パリでセーヌ川の水位上昇が起きた際には、ズワーヴ像に水位のラインが残るのです。
銅像には、横縞のラインがうっすら見えているのがお分かりいただけますでしょうか。
体を張って、セーヌ川の水位を市民に知らせてくれています。
平時におけるムッシュ・ズワーヴ。
兵士なので銃を担いでいます。橋の下からパリの空を見上げていますね。
ムッシュ・ズワーヴ「ボンジュール、パリ。セーヌ川の警備はオレに任せろ」
2016年6月のセーヌ川氾濫時。迫り来る濁流を前に、手を握りしめるムッシュ・ズワーヴ。
ムッシュ・ズワーヴ「ご・・ごくり・・Au secours!!!(たすけてぇー!!)」
笑っちゃいけないけど・・平時と氾濫時の彼の佇まいの変化になんだか人間味があります。
パリに来た時は、アレクサンドル3世橋方向からアルマ橋のズワーヴ像をチェックしてみてくださいね。