「いただく」作法

先日、都心のとあるおしゃれな和食やさんにて。
若いウェイターが注文した定食を持ってきてくれたのですが、・・あら??
運んできたお盆を食卓に並べたまでは良かったのですが、ご飯茶碗が席に対して右手前に置かれており、お汁椀が左に置かれていました。
彼女が立ち去った後にそっと自分で左右を変え、いただきます、と食べ始めたのですが、皆さんもこうした経験はないでしょうか?

日本の食の作法には、きちんとした理由をもつものが多く存在します。
その理由の多くが「いただく」ことを考え抜いたマナーであります。

 

たとえば、先ほどのご飯茶碗を席の左側に置く理由。
これは昔から日本ではお米は神聖な食べ物で、一粒一粒に神が宿っているとされてきました。その神聖なご飯を上位である左側に置くというところから来ています。(右利きの箸で汁物を食べるには右側に汁椀があったほうが食べやすいという説もなります)
上記は人の食べるものでありますが、ちなみに、祭壇や神棚にしつらえるお供え物はこのような位置関係になります。


お米は神が宿った神聖な主食、そしてそのお米からつくられたお酒。
日本人の文化にはお米は切っても切り離せない大事な食べ物ですね。

また、お皿に盛り付けられた料理は、手前のものからいただくのが基本です。
たとえばわかりやすいのがお刺身。
お刺身の盛り付けも、手前から取りやすいように盛られています。よく見てみると、お刺身の盛り付けの構造は、上からみて時計の「5時-11時」の針のように盛り付けられているので、右手に持った箸からは、一番手前(一番左)から食べてくださいというメッセージになっています。
料理人は食べやすさと味のバランスをみて盛り付けているので、お刺身は手前が淡白な白身の魚、奥側が赤身の魚というように、淡白な味わいから濃厚な味わいを舌が楽しめるように盛り付けられています。ですので、奥から食べることはせず、手前からいただきたいものです。

 

「いただく」作法は、提供する側もいただく側も知ってこそ成り立つマナー。
ついつい自己流になりがちですが、年末年始はお呼ばれされたりご招待する機会も多いもの。
「いただく」作法を身につけて、礼儀正しく気持ちのよい時間を過ごしたいものです。