「利休七則」はおもてなしの真髄 後

昨日に引き続き、「おもてなし」とはなんなのかを、おもてなしの極意でもある利休七則から読み解いていきたいと思います。
利休七則とは、茶道で守るべき基本的な精神と作法の七つの心得を説いたものです。

 

四則 花は野にあるように活け(ものの表現は本質を知って簡潔に)

華道師範だった母によく言われた言葉の一つです。
その時はどういう意味なのかわかりませんでしたが、そのものの本質を知って目的やその場に合った演出をすることが相手を喜ばせるおもてなしにつながることを知りました。
仕事でもそうですよね。
仕事の目的や本質を知れば、それに沿った働き方やアプローチの仕方がわかるというもの。
表面的な盛り付けや飾り付けではなく、相手の目的や本質にあわせたおもてなしをしていきたいものですね。

 

五則 刻限は早めに(何事も心にゆとりをもって行うこと)

1019-2

この言葉は、単純に「早めに行動しなさい」ということではないそうです。
時間の約束を守る事は、気遣いでも思いやりでもなく、相手への最低限のマナーであります。
千利休は、この五則に「常に心にゆとりをもって行動しなさい。それが相手への思いやりというもの」という意味を込めているのだそうです。
時間にゆとりをもって行動すれば、余裕が生まれ、余裕があれば相手に対して思いやりのある態度が取れる。
せわしない時間の流れの毎日ですが、ぴりぴりイライラしている時は、ぜひ時間にゆとりをもたせてみましょう。

 

六則 降らずとも雨の用意(相手のために万全の備えをせよ)

1019-1

この言葉は社会人になりたての頃、「晴れの日にも傘を持って行きなさい」と厳しい上司によく言われました。
そのため、「なぜ私だけ・・」とカンカン照りの日でもかばんに折りたたみ傘を入れ、汗をかきかき移動していたことを思い出します。後になって、傘を持つ事が大事なのではなく、常に万全の用意をして行きなさいという意味だったことに気づき、厳しいことを言ってくださった上司に感謝したものです。
何か問題が起きた時に解決策を必死に考えるのは当たり前。問題が起きる前から常に最悪の事態を想定して万全の対策を取っておく事こそが、相手にも信頼されるということを20代の時に学べた事は私にとって財産です。
今でも「晴れの日の傘」は、おっちょこちょいの私にとって戒めの言葉であります。
皆さんも「晴れの日の傘」、お持ちですか?

 

七則 相客に心せよ(何事をするにも相手のことを考えて)

1019-3

同席した客にも気を配れという言葉ですが、この言葉は「縁があって同じ場所に居合わせたのだから、お互いに相手に気を配ってすてきな時間を過ごしなさい」という深い意味があるといいます。
「袖釣り合うも他生の縁」これこそが、一期一会であり、千利休の茶道における一番の心得であり、日本人に脈々と受けつがれる「おもてなし精神」とも言えます。
「あなたと会える時間は二度とないかもしれないからこそ、この一瞬を大事にして、今できる最高のおもてなしをする」という想いは、死(終わり)があるからこそ精一杯生きよという日本人の死生観の土台に通じる作法なのかもしれません。

 

以上が千利休が説いた茶道の心得 利休七則です。
簡単にできそうですが、実はなかなかでいない相手への心がけを、利休は「おもてなし」として説いています。
限られた時間、限られた場所で、精一杯相手に尽くす事。相手に幸せを感じていただき、自分も幸せに思う。そこには、客と主人の関係を超えた対等な心のやりとり、心の成長があるように思います。

千利休の言葉に対しておこがましいかもしれませんが・・、「おもてなし」は、自分を成長させる作法と考えています。