映画「ルパン3世カリオストロの城」を観るときに知っておきたい3つのオマージュ

先週末、TVで放映された「ルパン3世 カリオストロの城」。
ルパンシリーズの中でも名作中の名作とうたわれるアニメ映画です。
公開してからTVでの再放送が何度もありますが、何度見ても楽しくワクワクするものですね。(そこが名画といわれる所以ではありますが)。

私は常々、ルパン3世のファンではなく、ルパン3世の元となったモーリス・ルブラン原作のフランスのミステリ小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズのファンだと公言しておりますが、この「カリオストロの城」は、小説ルパンシリーズのオマージュ作品ということもあり、大好きです。

※オマージュ作品というのは、原作に対して敬意や愛情を示すために作品の中に原作のエピソードやイメージを盛り込んだものを言います。

今日はそのオマージュ部分に焦点をあて、アルセーヌ・ルパンの魅力を少しでも伝えていけたらと思います。

 

1登場人物の名前

まずタイトルの「カリオストロ」という名前に、アルセーヌ・ルパンファンは惹きつけられます。
というのも、「カリオストロ」というのは、数ある作品の中でもルパンの駆け出しの頃の大冒険の話のタイトル「カリオストロ伯爵夫人」を連想させるからです。
カリオストロ伯爵夫人とは、ルパンに盗みのイロハを教えた運命の恋人でもあり生涯のライバルでもあった「不老不死の美女」です。

実は原作でも、カリオストロ伯爵というのは、ヨーロッパで実在した詐欺師の名前からのオマージュです。だから、ルパンファンとしては、カリオストロと聞いただけで小説のオマージュなんだなとわかるのです笑

 

そして今作のヒロイン、クラリス姫。
このクラリスこそ、原作ではカリオストロ伯爵夫人の恋のライバルであり、ルパンの最初の奥さんの名前です。原作ではルパンと結婚し子供を生むものの、産んですぐに亡くなってしまうという薄幸の美人。ちなみに彼女の死後、生まれたばかりの子供はカリオストロ伯爵夫人によって誘拐され育てられ、ルパンの前に「殺人犯の容疑者」として現れます。(原作は「カリオストロの復讐」)
恋した男に捨てられ財宝も横取りされたとはいえ、子供を盗んだ挙句に生涯にわたり徹底的にルパンを苦しめようとする・・なんという執念深さなんでしょうか、カリオストロ伯爵夫人は。

 

おっと忘れてはいけない、カリオストロ伯爵家の執事のジョドー。
彼、見た目、いかにも悪そうです。笑 暗殺集団も率いていますし。
このジョドーという名前は、このアニメ映画のストーリーの下敷きとなった「緑の目の令嬢」に出てくるヒロインを付け狙う極悪人のオマージュ。原作では宝のありかをめぐってヒロインの祖父を殺した20年ほど前の事件から物語が繋がっています。そして原作では最後は出現した宝の争奪に巻き込まれ死んでしまいます。

 

2お宝ストーリーのオマージュ

映画のストーリー展開は原作の「緑の目の令嬢」が下敷きとなっています。
湖に沈む古代ローマ遺跡を(知らずに)相続した令嬢が、ルパンと偶然出会い、ルパンにピンチを助けられながら悪党の企みを砕いて湖底の遺跡を発見する・・・という冒険ラブストーリー。
この湖底の古代ローマ遺跡自体は架空の話ですが、原作ではこの遺跡に向かう際、クレルモン=フェランに近いピュイ・ド・ドームという火山のふもとのジュバン村、という地名が出てきます(ジュバン村は架空の村です)。こういう現実とのリンクがフィクションでありながらもフィクションぽくなくて、アルセーヌ・ルパンが大好きな理由です。
ちなみにクレルモン=フェランにはフランス人の友人が住んでいるので、友人を訪ねるついでにピュイ・ド・ドーム山にも行ってこようと思っています。

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出典:http://japon-france.com/ryugakukan.clermont-ferrand.html

 

 

 

3時計塔のオマージュは江戸川乱歩から

アニメでは時計塔の機械仕掛けのからくり内のアクションシーンが印象的でしたが、実はこれはルパンシリーズの原作にはありません。このシーンは、江戸川乱歩の小説「時計塔の秘密」からのオマージュからと思われます。
小さい頃、明智小五郎の少年探偵団シリーズもよく読んでいましたが、この「時計塔の秘密」は
「死の十字路」「三角館の恐怖」とともに私の中では「3大ゾッとする少年探偵団シリーズ」であったため、カリオストロの城をみてすぐ時計塔の秘密のオマージュだと気付きました。

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出典:http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=50300450

ちなみに江戸川乱歩にはアルセーヌ・ルパンシリーズをオマージュしている作品もあり、ルパンシリーズとも縁が深いのです。また、この「時計塔の秘密」は黒岩涙香の「幽霊塔」をリライトした小説であり、さらに「幽霊塔」はアメリカの作家アリス・マリエル・ウィリアムソンの「灰色の女」をオマージュした作品といわれています。そう、アニメ映画のルパンはオマージュにオマージュを重ねた作品ともいえましょう。

 

いかがでしたでしょうか。
代表的なオマージュについてあげてみましたが、ちょっとマニアックすぎましたかね。
ちょっとでもアルセーヌ・ルパンを広めたい、そんな気持ちで書いてみましたので、映画から原作のアルセーヌ・ルパンに興味を持っていただければ嬉しいです。