一花三季という考え方

茶花とは、茶席に生ける季節の花のこと。
客人をもてなす場に飾る花は、移ろいゆく四季にホストである主人の気持ちや人生を重ね合わせたおもてなしの心が表されています。
西洋のフラワーアレンジメントと違い、日本の茶花は、花の持つ個性を生かしながらも和室の建築様式に合わせてきりっとした格調をシンプルで洒脱な型で表現します。

 

通常、茶花は年中行事や茶事に合わせるように生けますが、その時期に何を飾るのかという決まりごとがあり、その中で季節の花や枝、葉の力を選んでいきます。
中でも、日本人の感性の豊かさを表している「一花三季」という考え方があります。
一つの花には三つの異なるピークがあり、咲き始めの初花、花開く盛りの当季、そして花の終わりの頃の名残の時期に分かれるとされています。つまり、一花三季とは、それぞれの時期にあわせて飾り方を変えるという発想です。
生花とは、花を生かすと書きます。この、命の美を無駄にせずあますところなく味わい尽くす細やかさは、日本人ならではの美意識ですね。


出典:http://www.ikebana-ensyu.com/ensyu-hanagata-seifuka.html
本来の茶花は型がありますが、まずは、難しいことを抜きにして、このお彼岸の時期、床の間や玄関に季節のお花を生けてみましょう。慌ただしい日常に心和むひととき、自然の移ろいに癒されること請け合いです。

 

ところで、亡くなった母方の祖母は華道の師範代でして、元気だった頃はお弟子さんにも恵まれ、定期的に靖国神社に献華に行っていました。
ある時、祖母がお花を生けながら、傍で見守っていた幼稚園児の私に「お花は宇宙を表すの。お花で天と地と人を表現して、ここには一つの完璧な宇宙ができているのよ」と言いました。
その時は「へぇ、これは宇宙なのか」くらいにしか思っていなかったのですが、祖母の死後、だいぶ経ってからフラワーアレンジメントを習い出した時に「そういえばおばあちゃんがこんな事を言ってたっけ」と母に言うと、母が「それは天地人三才という華道の極意。幼稚園児にそんな事言ってたの?」と驚いていました。
変に子供扱いしないで、一生懸命いろんな事を教えてくれた祖母には感謝です。
感謝の気持ちをこめて、私もお花を生けたいと思います。