古民家カフェ蓮月

住所:東京都大田区池上2-20-11
定休日 : 不定休
営業時間:
月〜木10:00~18:00 (LO 17:00)
金〜日・祝 10:00~22:00 (LO 21:00)
http://rengetsu.net
 
 
古民家が好きな理由、それは、空間に息づく暮らしの面影が垣間見えてくるからです。
 
 
古くどっしりとした梁や畳のにおい、とたとたと2Fを歩く床のおと、タンスからかすかな着物の芳香剤のにおい、床の間の磨かれた床のつるっとした手触り、ぽわんとした気泡が愛おしい昔ながらの窓ガラス、柱時計のかちかちと時を刻むおと・・
 
 
この空間で、かつて私と同じように人と語りあい、のんびりしたり、くつろいだ時を過ごした人がいるのだなぁと思うと、時を超えて昔の人たちとこの場を共有している気がしていて、懐かしいような、わくわくするような、ちょっと嬉しいようなで、心が踊り温まります。
この場の空気を体いっぱいに吸い込んだら、過去から現在の時間や人間も一緒になれないかしら、なんて。
こういう感じ方をするのは、私が歴史好きだからかもしれないですね。
21歳の時に訪れたエジプトのルクソール神殿でも、わずかに壁に残っているはげた着彩の壁画を見て「ああ、3000年以上前も、ここに人がいて、同じものをみてたのだ」と思うと、時空を旅してきたようななんともいえないノスタルジーを感じたりしたものでした。
 
 
今日ご紹介するのは、かねてよりずっと気になっていた池上の古民家カフェ。
東急池上線池上駅から池上本門寺に続く道の途中にあります。
町家のように、道路に面している間口よりも奥行きが長い日本家屋は、実は4年前までお蕎麦屋さんとして営業していたそうです。
店内にはその面影が。
何銭、と書かれたうどんやお蕎麦のお品書きが入り口に掲げられていました。
 
 
ああ、ずっとここにきたかったんだ。
入ってすぐに思いました。
昔の商家を思わせる高い天井の広い土間や番台、急勾配の狭い階段。
奥の庭を見通せる、風通しの良い板の間の客間。
いい色に変化した真壁の束柱にみえる傷。
設備は現代のLEDの照明器具だったり、座り心地の良いソファ椅子だったりですが、昔の美しい景観を損なうことなくしつらえてあります。
 
私は空間を新しく作ることを生業としていますが、新しい空間をエイジング加工といってアンティーク風に見せるテクニックはもっていても、本物のアンティークはつくることはできません。
居心地の良い使い込まれた空間、それは、使っている人間と時間にしか作ることができないんですね。

 
休日にのんびりコーヒーでも飲みながら、本でも読んで時間を過ごすにはぴったりな古民家カフェ。
戦災の影響で東京にはこうした古民家はなかなか残っていませんが、しばし時を忘れるようなすてきな空間をこれからも発掘していきたいと思います。